落ち葉にまつわる小ばなし〜茨城県水戸市A様〜
このところすっかり冬らしい寒さが続いていますが、
ここ茨城県水戸市でも、朝には霜柱が立つ寒さです。
この寒さで紅葉した葉も落ちて、
初冬らしい景色が広がっています。
この時期になるとちょっと気忙しい気になりませんか。
私もこの時期は、気分的に急にソワソワし出します。
請求書が…見積もりが…大掃除、お歳暮に年賀状…
でも最近は、そんな気ぜわしさが、
良くも悪くも、風物詩の様に感じられる様になって来ました。
先日お邪魔した茨城県水戸市のA様のお庭の、
色づいたモミジの葉が絨毯のように地面に落ちて、
綺麗だったので写真を撮らせて頂きましたが、A様も
『本当は掃かなきゃいけないんでしょうけど、あまりに綺麗なもんだから…』
とおっしゃっていました。
確かに 色づいた落ち葉が地面を覆うさまもとても美しいですよね。
1年間の庭のメンテナンスとして大きく分けて、
剪定、除草、落ち葉掃き この作業が、
皆さんが頭を抱える作業のようですね。
除草に関しては雑木の庭を作ることである程度解決します。
雑木の木陰は柔らかな半日陰状態になりますので
さほどの草は生えません。
また更に、グランドカバーや下草などで地面を覆うなど工夫すること、
そして種類にもよりますが、雑草もある程度生えていても、
それが自然と活きる様に工夫すれば、
自然な趣の庭の美しさを楽しむことができます。
そして剪定はもう今までにも何度もこのブログでご紹介して来ましたので、
詳しい説明は省略しますが、
「透かし剪定」をベースにすることで、
毎年のまめな剪定が必要なくなります。
そして落ち葉掃きはある程度必要ですが、
落ち葉も一つの風情と捉えることで、
気持ちも作業も楽になります。
落ち葉が話題に出ると、どこかの本で読んだ話をよく思い出します。
大きく要約してお伝えすると、
とあるお寺の住職様が、小僧の一人に庭の掃き掃除を命じました。
小僧さんは、さっと庭を掃き終え、
『 和尚さま、終わりました。』と住職に伝えると、
『 やり直しじゃ。』
そう言われて 小僧はもう一度掃き直しましたが
それでも住職は「やり直しじゃ。」そう繰り返すばかりでした。
小僧は腹が立ち、
『 何が悪いというんだ?!こうなったら、落ち葉一枚残さず履いてやる!!』
と、落ち葉一枚無い状態に掃き上げ、住職に言いました。
『 和尚様、終わりました。』
すると住職は小僧に言いました。
『 全くなっとらんのぉ。やり直しじゃ。』
唖然とした小僧は、
『一体何が駄目だと言うんだ!これ以上何をしろと言うんだ!』
そう思いながら庭の片隅で立ち竦んでしまいました。
小僧はしばらくの間考えました、そしてハッとして
先ほど掃き集めた落ち葉を片手に掴み、
落ち葉一枚無い完璧な状態に掃き上げた庭に、
ひらひらと撒きました。
そして小僧は住職に言いました。
『 和尚さま、終わりました。』
すると住職は、
『よろしい!』 と言ったのでした。
毎年落ち葉を見ると、この話を思い出します。
庭の本当の美しさとは、こう言うものではないでしょうか。
これこそ日本人が持つ美的感覚なのかもしれませんね。
最近は庭はメンテナンスが大変だと言って敬遠されがちですが、
工夫次第、そして捉え方次第で庭は私達に優しい存在となります。
私達SK齊藤造園は、そんな、庭の捉え方や、
庭のある暮らしの幸せを
みなさんにお伝えしてして行けたら、
そう思いながら、日々活動しています。